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九谷焼を美術館や図録で鑑賞するための解説を行っています

解説のための用語集 「か」行

      

項 目 名 そ の 意 味 と 簡 単 な 解 説
柿右衛門様式 乳白色の素地に色絵を施した磁器。1690年代頃まで有田の色絵の流行様式となり、その後乳白色だけでなく青味を帯びた白磁や染付を用いた素地にも同じような雰囲気の色絵を施したものがたくさん作られるようになった。
金沢九谷 幕末・明治以降、旧加賀藩領内の地域を指して、江沼九谷、金沢九谷、能美九谷と大きく三つに分けられて呼ばれてきた九谷焼の生産地のうちの一つ。金沢九谷は、加賀藩が1806年すでに約150年前に廃窯となっていた古九谷窯に代わり九谷焼を再興する目的で、京都から招いた陶工・青木木米によって始まった春日山窯がその起源である。その後、加賀藩士によって興された民山窯で赤絵九谷の先駆となるやきものが焼かれたことなどから、その特色は細密絵と盛絵具と、独特の赤を特徴とした赤絵金彩、金襴手などがあります。
唐草文 草花文様の一種であるが、空想的な植物文様と考えられている。縦横無尽に空間を埋め尽くしてゆくかのようなエネルギーを感じさせる文様として多種多様に展開されてきました。古代エジプト時代のつなぎ文に端を発し、やがてギリシャのパルメット文を経て、ペルシャ、インド、中国を経て日本に伝播されたといわれます。
からつもの 「せともの」の項 参照
素地 一般的に造形作品,特に工芸品の加飾する前の素材のことをいう。素地土は 粘土、長石、珪石を調合して作るが、粘土が多く、粒子が粗いのは陶器素地、長石が多く、粒子が細かいのは磁器素地となります、乾燥し焼く前のものを生素地、素焼きしたものを素焼き素地と呼びます。土はその地方独特の方法で採掘、調整されますので、九谷焼の場合は花坂陶石が鉄分を多く含んでいるため、白よりも透明感のある青みがかった色に焼きあがります。
北前船 江戸時代から明治時代にかけて活躍した主に買積み廻船の名称。上りでは対馬海流に抗して、北陸以北の日本海沿岸諸港から下関を経由して瀬戸内海の大坂に向かう航路(下りはこの逆)及び、この航路を行きかう船のことである。米を大阪で換金していた加賀藩が、寛永16年(1639年)に兵庫の北風家の助けを得て、西廻り航路で100石の米を大坂へ送ることに成功した。
金泥 純粋もしくはそれに近い金を粉末状にして膠が入った水で溶かした絵具のこと。
金襴手 赤絵、色絵などに金彩を加えたもの。色釉と金との配色が織物の金襴の趣に似ているところから、この名が出た。中国宋代に始り、明・清代に極度に発達、この影響により日本では江戸時代中期から作られた。
久隅守景 初期の九谷焼の多くの図案を描いたと考えられている有名な狩野派画家。絵付したと考えられる古九谷があり、「宗達手」と「守景手」と呼ばれることもあります。
九谷五彩 九谷焼独特の絵の具である、緑、紫、黄、紺青、赤の5色で絵付けされもので、五彩手ともいわれる。九谷五彩の上絵付けの特徴はみごとな色彩効果と優美な絵模様に表れるといわれます。
交趾焼 明代末から清代にかけて,中国南部の広東省・福建省・浙江(せつこう)省などで産出されたといわれる色彩軟陶の総称。胎土は暗色で三彩釉が施されている。茶人の間で香合(こうごう)が珍重される。
古酒屋孫次 天保初年に加賀の古酒屋孫左衛門の養子となり、友次郎から孫次と改名。郷里の肥前伊万里や尾張瀬戸から白磁をとりよせ、赤や金などで絵付けをした。江戸後期から明治初期に白山市美川地域で活動し、九谷焼に絶大な影響を与えたとされる。松屋菊三郎に陶画を指導し、九谷庄三の赤絵細描に影響を与えたといわれる。
呉須 一般的に下絵の染付を呉須と呼ぶ。焼物の染付に用いるコバルト化合物を含む鉱物の名で、原石は黒ずんだ青緑色で、粉末にして水に溶いて磁器に文様を描き、上に釉をかけて焼くと藍色に発色する。中国・朝鮮では青花と呼ばれ、釉下彩技法の1つである。釉下彩は、磁器に釉薬を掛ける前の素地に文様を描く技法で、磁土を一度素焼きしてから、呉須で図柄を描き、その上から透明釉を掛けて再度焼成(本焼き)すると、呉須は青(藍色)に発色する。
一方、呉須焼の略称としても使われ、上絵の具の線描きに使う絵の具も呉須と呼ぶ。上絵の呉須は普通は黒、それと茶色がある。九谷焼では能登呉須を用い、色は黒で、骨(線)描きに使う。
呉須赤絵 中国陶磁器の一様式をさす日本での呼称。染付のなかで厚手の胎作り、奔放な絵文様をもつ磁器を日本では一般に「呉須手」と称し、これと似た作りで絵文様が赤を主体として黄、緑、青の釉色のかかったものを呉須赤絵と呼ぶ。明末から清初にかけて天啓赤絵、南京赤絵と呼ばれる粗雑で奔放な絵付の呉須赤絵が焼造され、これらが日本の茶人たちに愛好され、日本の赤絵の発展に大きな影響を与えた。
骨描き 一般には、彩色に入る前に墨などで輪郭線を引く技法。骨は輪郭線を意味し、絵の骨格として、彩色の大切な手がかりになります。陶芸制作の絵付けの他に、日本画制作で用いられる技法。九谷焼では、呉須により絵模様の輪郭を骨描き(線描き)し、そこに五彩呼ばれる緑・紫・黄・紺青・赤の五色で鮮やかに色を加えるのが九谷焼の特徴です。
小紋 日本の和服の種類の一つで、全体に細かい紋様が入っていることが名称の由来という。九谷焼では地文に花小紋、菊花小紋、青海波文、鹿子絞に似た丸文、鮫文のようなものなど、着物の小紋を変形したものが描かれている。

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陶芸用語大辞典